製品技術

マルチスレッドによる処理の効率化

パソコンに保存されたデジタルオーディオデータを、USBオーディオ機器が忠実に再現するには、様々な技術と対策が必要となります。入力されたパケットデータを遅延なくオーディオストリームに変換し、マスター音源に忠実なタイミングでクロックを刻み、接続された機器へ安定して正確に送り届けることが重要であると私達は考えます。
ここで解説するマルチスレッドによる処理の効率化は、製品内部でおこなわれるデータの並行処理(マルチスレッド)によりオーディオデータストリームを安定した状態で受信/転送することができる技術です。マルチスレッドとは、一連の処理を複数のスレッドに分割し、それぞれのスレッドが並行して処理をおこなうことを指します。これは「高速道路において、複数の料金所を用いて潤滑に通過させる」とイメージしていただくことができます。

【シングルスレッドとマルチスレッド 参照】

これにより製品内部の動作を安定させることができ、遅延することなくデータを転送することができます。さらに内蔵された2基の高精度水晶発振モジュールで生成したクロックを使用することで、より正確なタイミングでのデータを転送することが可能となりました。

●マルチスレッドにより処理待ちを解消

本機能を可能に するXMOS製 GPU XC-1

本技術を採用する機種は、PCやデジタルオーディオプレイヤーから伝送されたパケットデータに対して、効率よく処理をおこない次の段階へAudio Streamが転送されます。パケットデータ入力処理、オーディオストリーム変換、クロック入力、DACへの転送が機器内部で同時に複数のスレッド(マルチスレッド)で処理されます。これにより、内部の処理は効率化され動作が安定し、遅滞することなくAudioStreamに変換されます。
●オーディオ専用クロックを基準として動作

正確なタイミングを刻む2種のオーディオ専用クロック(44.1kHz系/48kHz系)

マルチスレッドによる処理の効率化がおこなわれたデータの精度をさらに高めるため、製品内部にオーディオ専用のクロック回路を搭載しています。クロック回路は2基の独立した高精度水晶発振モジュールによって構成されており、入力されたサンプルレートから44.1kHz系と48kHz系(22.5792MHz、24.576MHz)をセレクト、内部で生成したオーディオ専用クロックを基準にAudio Streamを転送するため、低ジッターで音楽データを再生することができます。<図1>

図1:マスターロック

パソコンから伝送されたデータを内部で並列処理することにより、延滞することなくオーディオデータストリームを安定した状態で伝送することができます。さらに内蔵された独立水晶発振モジュールを併用することにより正確なタイミングで転送するためジッターの発生を防ぎ、高精度な再生を可能にしています。

採用機種

  • RAL-24192UT1
  • RAL-24192HA1